現代の死装束・エンディングドレスと一般的な死装束その違いを解説いたします
「エンディングドレスと一般的な死装束。どちらがいいの?どう違うの?」
大切な人を見送るとき、故人らしい衣装を選びたいと考えるご家族が増えています。
結論からお伝えすると、エンディングドレスとは、亡くなった方に着せることを目的につくられたドレス型の死装束です。一般的な死装束よりも色やデザインの選択肢が多く、故人の好みや雰囲気を反映しやすいことが特徴です。
ただし、選ぶときは見た目の美しさだけでなく、次の点を確認する必要があります。
- 故人の好みや雰囲気を反映できるか
- 顔色や身体の状態に合う色・シルエットか
- 無理なく着せられ、背中に段差のない設計か
- 棺に納めやすく、火葬に適した素材や仕様か
- 宗教や地域の習慣、火葬場の規定に合っているか
エンディングドレスは、華やかさだけを重視した衣装ではありません。故人の身体状況、着せる方の負担、素材、色、シルエットを考えてつくられた、現代の死装束の一つです。
一方で、死装束や納棺の方法、火葬時に使用できる衣装や副葬品の扱いは、宗教、地域、葬儀社、火葬場によって異なる場合があります。この記事では、まずエンディングドレスの特徴をご紹介し、一般的な死装束や通常のドレスとの違い、選び方のポイントを解説します。最後に、エンディングドレス専門店「さくらさくら」が大切にしている衣裳設計についてご紹介します。
🌸エンディングドレスとは?
エンディングドレスとは、亡くなった方に着せることを目的につくられたドレス型の死装束です。洋服のデザインや素材、シルエットを取り入れながら、故人に無理なく着せられるよう設計されています。
一般的な洋服は、着る人が自分で腕を通したり、身体を動かしたりすることを前提にしています。しかし、エンディングドレスを着る方は、自ら身体を動かすことができません。
そのため、衣装を開閉しやすいか、腕や肩に無理な力をかけずに着せられるか、身体を持ち上げる動作を減らせるか、死後硬直などを考慮した設計かといった点が重要になります。
また、棺に納めたときに衣装が整って見えることや、火葬に適した素材・仕様であることも確認が必要です。
色や襟元、袖、シルエットなどの選択肢が多く、故人の好みや雰囲気を反映しやすいことも特徴です。
「最後まで自分らしい姿でいたい」
「母らしい姿で見送ってあげたい」
「好きだった色を着せてあげたい」
エンディングドレスは、こうした故人や遺族の思いに応える最期の一着です。
🌸エンディングドレスと死装束の違い
一般的な死装束は、日本古来の風習や宗教的な意味を大切にした衣装です。白を基調としたものが多く、和装で、すべて直線で構成されているのが特徴です。
一方、エンディングドレスは洋服の考え方を取り入れ、身体のラインに合わせたカーブや立体感を生かしてつくられています。
着物の死装束は、前身頃や後ろ身頃を直線的な布で構成し、身体に合わせて紐や簡易的な帯で着付ける衣服です。対して洋装の死装束は、肩や胸、腰など身体の丸みに合わせて型紙にカーブをつくり、布を立体的に組み立てます。
さくらさくらでは、この二つの考え方を分けるのではなく、それぞれの良さを取り入れています。和装の落ち着きや包み込むような印象を残しながら、洋装の立体的な仕立てによって、首元や肩まわりが自然になじむ形を目指しています。
伝統的な死装束にも大切な意味があります。一方、エンディングドレスは「死装束らしさ」よりも、「その人が最後に着る一着」として選べることが特徴です。
どちらを選ぶべきかに正解はありません。故人の希望、家族の気持ち、宗教や地域の習慣などを考慮し、納得できる衣装を選ぶことが大切です。
なお、死装束は素材や仕立てによって価格に幅があります。価格だけでなく、素材、着せるときの扱いやすさ、火葬への適合性、どのような考えでつくられているかを確認して選びましょう。
🌸一般的なドレスとエンディングドレスの違い
エンディングドレスを選ぶときは、一般的なドレスとの違いを理解しておくことも重要です。
一般的なドレスは、生きている方が立ったり座ったり、腕を動かしたりすることを前提に設計されています。身体を自分で動かせるため、頭からかぶるタイプや身体に沿った細身のデザインでも着用できます。
一方、エンディングドレスは、亡くなられた方の身体の状態や、着せる方の負担を考える必要があります。
そのため、開きが大きくできるだけ全開で、ファスナーやボタンや紐など背中に段差のない仕様(全体重が長時間かかり故人の皮膚は傷つきやすい状態にある)、腕や肩を大きく動かさずに着せられる構造、身体に引っかかりにくい襟や袖、棺に納めたときに整いやすいシルエットなどが求められます。
また、火葬に適した素材や装飾であることも欠かせません。
見た目が美しいだけでは、エンディングドレスとして十分とはいえません。故人に着せる場面まで考え、葬儀という場にふさわしい厳かさかを見極めることが大切です。
エンディングドレスは、病院や施設、自宅での死後の処置(エンジェルケア)のすぐあとに着せるだけでなく、浴衣やパジャマからすぐに着替えさせる場合、シャワー湯灌の後に着替えさせる場合もあります。
限られた時間の中で、手順良く着せられる設計が重要です。
ただし、実際の着せ替え方法は、故人の身体の状態、死後硬直の程度、医療処置の有無、納棺の進め方などによって異なります。ご家族だけで無理に着せ替えようとせず、葬儀社や納棺師、看護師に確認し作業を依頼してください。
🌸エンディングドレスを選ぶときのポイント
1.故人の好みや雰囲気を思い出す
生前に好きだった色や服装、故人の雰囲気を思い出し、どのような姿で送りたいかを考えましょう。
「母ならこの色」「このデザインが本人らしい」と感じられることが、衣装選びの大切な基準になります。
たとえば、普段から明るい色の服を好んでいた方なら、白だけに限定せず、淡いピンクやラベンダー、やわらかな色を検討することもできます。
落ち着いた服装を好んでいた方なら、深みのある色を選ぶことで、その人らしい雰囲気を表現できます。
2.本人の希望と家族の気持ちを確認する
生前に本人の希望があれば、できるだけ尊重しましょう。同時に、実際に見送るご家族の気持ちも大切です。
親御さんの衣装を選ぶ場合は、兄弟姉妹で相談し、それぞれの思いを共有しておくと安心です。
「本人は赤が好きだったけれど、家族は白がよいと思っている」といった場合も、どちらか一方を否定する必要はありません。
赤をそのまま主役の色にするのではなく、襟元や装飾に取り入れる、落ち着いた色味の赤を選ぶなど、故人の希望とご家族の印象を両立させる方法もあります。
3.顔色に合う色を選ぶ
好きな色と、顔色がきれいに見える色は異なる場合があります。顔まわりに置いたときの印象を想像し、故人の肌色や雰囲気に合う色を選びましょう。
照明の種類によっても色の見え方は変わるため、写真だけで判断せず、自然光や室内光での印象を比べると、より選びやすくなります。
4.身体の状態に合うデザインを選ぶ
傷跡や治療痕など、気になる部分がある場合は、襟元や袖、胸元などのデザインで自然にカバーできることがあります。
たとえば、首元を覆う襟、肘や手先まで包む袖、胸元にゆとりを持たせたデザインなど、気になる場所に合わせて選択肢を考えられます。
5.着せる場面を想定して仕様を確認する
エンディングドレスは故人様の「関節の可動域が狭い」「皮膚がデリケート」であることを前提に選ぶ必要があります。
次のような点を確認しましょう。
- 大きく開く仕様になっているか
- 背中に段差のある構造になっていないか
- 腕や肩がスムーズに着せられるか
- 袖や襟元が身体に引っかかりにくくないか
- 身体を動かす動作を減らせるか
- 衣装を整えた状態で棺に納めやすいか
6帽子や小物を含めて全体を考える
髪型や顔まわりが気になる場合は、帽子などを含めて全体の印象を整えます。
衣装単体ではなく、襟元、帽子、色、シルエットを一つの組み合わせとして考えることが大切です。
また、見えない部分ですが締め付けのない足袋や靴下、納棺時は紙おむつを外すことが多いので、肌着の準備もご検討ください。
🌸さくらさくらが大切にする衣装設計
エンディングドレスを選ぶときは、デザインや色だけでなく、どのような考え方でつくられているかを知ることも大切です。
エンディングドレス専門店「さくらさくら」では、長年の服飾業の知識と実績、代表のがん闘病の実体験を生かし、故人様の尊厳とご遺族の心情に配慮した衣装設計、小物までご用意を行っています。
棺や布団に隠れる部分も、「見えないから簡単でよい」とは考えていません。
最後まで故人の尊厳を大切にし、見えない部分にもさりげなくデザインを施しています。ご家族が「この服を選んでよかった」と思えるよう、細部まで丁寧につくっています。
衣装を整えるご家族や納棺師の方が、袖口や裾、内側の仕立てに触れることもあります。見えない部分が丁寧につくられていると、衣装を扱うときにも安心感があります。
また、棺の中で衣装がずれたり、布地が大きく乱れたりしにくいよう、全体のバランスを考えて仕立てることも大切です。
ご遺族が最後の故人の姿を見たとき、どこから見ても落ち着いて整っていることを目指しています。
🌸髪のお悩みには帽子という選択肢も
白髪や脱毛、髪型を整えることが難しい場合など、髪について悩まれるご家族も少なくありません。
病気や治療の影響で髪が少なくなっている場合、髪型を整えるだけでは全体の印象をまとめにくいことがあります。また、髪を強く整えようとすると、故人の身体に負担をかける場合もあります。
さくらさくらでは、エンディングドレスに合わせられる帽子を2種類用意しています。
帽子を合わせることで、髪の状態を無理に整えすぎることなく、顔まわりから衣装までの印象を一つにまとめることができます。
帽子は単に髪のお悩みを隠すためのものではありません。襟元やドレスの色とのバランスを考え、故人の雰囲気に合うように選ぶことで、全体のコーディネートを整える役割も果たします。
🌸エンディングドレスを選ぶということ
伝統的な死装束には、長く受け継がれてきた意味があります。一方、エンディングドレスには、故人の好みや生き方を衣装に反映できる良さがあります。
どちらが正しいというものではありません。
大切なのは、故人の希望や生き方、ご家族の気持ちを考え、納得できる一着を選ぶことで、安心してその日を迎えることが大切です。
エンディングドレスを選ぶことは、単に衣装を購入することではありません。
故人のことをご家族で思い出す時間でもあります。
「最期の姿も、その人らしく、私らしく」
さくらさくらはエンディングドレスを通して、心静かにその日をお過ごしいただけるようお支えいたします。
